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2007年6月 7日

子犬

わたしが中学生の頃の話である。

飼い犬の散歩は私の仕事だった。
その朝も2ひきの犬を連れ、1時間ほどかけていつものルートをたどっていると、とある家の裏の畑に子犬がいる。

真っ黒くてもじゃもじゃしたの、まっ白くてもじゃもじゃしたの、真っ黒い短毛でお腹に白い筋のかいってるの。
短毛の子は臆病だったが、他の子は人なつこく、元気がいい。
どうも、近辺に捨てられたのが、雨をよけてここの畑にある道具置き場の下に潜り込んでいたものらしい。
とりあえず手持ちのおやつ(ウチの犬にはガマンしてもらった)を与えて、学校が終わったら即行保護して飼い主を探そう、と決めた。

イライラと授業を受け、カゴとエサを持ち、自転車で駆けつけると、そこには犬の気配がない。
しまった、おいはらわれたか…。

ガックリしたところに、映像が浮かんできた。

頬被りをしたおばあさん。 子犬たちを追い散らすが、短毛の子は拾って行った。 残りの子は追い払われて、田んぼの方に逃げていく。 田んぼの畦を、ときどきじゃれ合いながら走っていく。

ふっと我に返って、改めて現場?を見てみる。
子犬らが隠れていた道具置き場。
短毛の子は、このしたから引きずり出されて、持って行かれた…気がする。
たぶん、飼われるだろう。

人が来てなにかしていった、という痕跡はあったが、映像の通りの事があったかどうかは分からない。
それでも、その中で子犬たちが逃げていった方向を真っ直ぐたどってみた。
田んぼの畦をジャレながら歩いていった…気がする。
なにせだだっぴろいので、すぐどっちへ行ったか分からなくなる。
映像ももう浮かばない。

手がかりを探して周囲をぐるっと見渡すと、進行方向に土を掘り返した直後の田んぼが残っていて、そこにカラスが群れている。
あいつらは、ねぐらか、エサ場以外には群れない。

ちょっといやな予感がして、カラス方向へ進むことにする。
そこだけ茶色い掘り返した田んぼはとても広くて、直線距離で50メートル近くある。
それの奥1/3ぐらいに、カラスが20羽ぐらい群れている。
何度も目を凝らしたけど、エサのようなものは見あたらない。
ますますもっておかしい。

もうひとつ気になるものが見えた。
ゴミだろうか…自然界にありえない白いなにかが、手前にぽつん、と見える。
スーパーの袋にも見えるが…。

カラスがちょっと気味悪かったが、他に手がかりもないので、まず白っぽいものを確認しにいく。
ゴミだったら放置していけばいいのだ。

ドンドン近づいていく。地面に埋もれている感じで、なにかはやっぱり分からない。
不思議なことに、材質が何かもよくわからない。 なんだろ、あれ。
もう後数メートルというところで、それがモシャっとした動物の毛に見えることに気がついた。
あわてて走り寄ると。

深さ30センチほどの小さなくぼみの中に、探している子犬がいた。
何があったのか、黒い子犬の上に白い子犬が被さって、身を守っていたらしい。

持ち上げると、ぷるぷる震えている。
カラスに襲われたのかもしれない。
見たところ傷はなかったが、だいぶん憔悴していたので、カゴに保護して連れ帰った。
祖母はいい顔をしなかったが、もらわれていくまで、という約束で保護に同意してくれた。
(母は犬が嫌いなので話にも加わらない)

学校であらかじめ探してあったので、すぐに飼いたい人が見つかった。
白い子は隣家の末っ子がもらっていった。
黒い子は同級生が保護当日に引き取りに来た。

短毛の子はどうなったか分からないけど、幸せに暮らしたと思う。

その後、あんな風に映像が見えたことはない。

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このページは、電氣猫が2007年6月 7日 08:27に書いたブログ記事です。

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